「裁判にはかかわりたくない…」
という理由で、
陳述書の提出を断るアーム君とアカイ君。
申し訳なさそうに断る二人の姿に、
(これ以上のムリは言えへんなぁ…)
と肩を落としたその時!
フ〜ン、ガァ〜!フ〜ン、ガァ〜!
と、それはそれはものスゴイ鼻息が
僕の隣から聞こえてくるではありませんか!
(ん? もしかしてこの荒い鼻息、万田っち…?)
と思った僕は、
隣に座っている万田っちの方へ
静かに目線を向けてみるコトに。
すると、
目に涙をいっぱい浮かべながら
顔面を真っ赤にしている万田っちの顔が。
(え? 万田っち、ど〜したん!?
)と思った次の瞬間!
万田 「じ、自分らぁ〜ぁああ!」
と、興奮のあまり声にならない声で、
万田 「さ、さっきから聞いてたらぁ〜ぁあ!
フ〜ン、ガァ〜、
よ〜そんな勝手なコトが、
フ〜ン、ガァ〜
言えんなぁ〜ぁあ!
」と、鼻息交じりに声を震わせながら、
大声を張り上げる万田っち!

二人 「へっ!?
ビクッ!」万田っちの突然の言葉にビックリする
アーム君とアカイ君。
万田 「自分ら、それでも男かぁ〜あ!
フ〜ン、ガァ〜、
自分らもソンゴン君が書いた本、
読んだんちゃうんかぁ〜あ!?
フ〜ン、ガァ〜」
二人 「え? あ、う、うん…」
万田 「どっちやな!?
読んだんやろぉ〜お!?
フ〜ン、ガァ〜」
アーム 「う、うん、読んだ…」
万田 「ど〜思ったんやな!?
あの本読んで、
ど〜思ったんやなぁ〜あ!?
フ〜ン、ガァ〜、
ウソが書いてあるとでも
思ったんかぁ〜あ!? 」
アーム 「いや、ホンマのコトが
書いてあると思ったし、
読んでスッキリした」
アカイ 「ぼ、僕もです…」
万田 「そやのに自分ら、
よ〜断れんなぁ〜あ!!
フ〜ン、ガァ〜」
二人 「・・・・・・・・・」
万田 「あのなぁ、ソンゴン君はなぁ!
フ〜ン、ガァ〜、
ホンマのコトを書いたのに
ウソばっかり書いてる言うて
名誉棄損で訴えられたんやで!
あの会社に2100万円も請求
されてるんやで!」
二人 「・・・・・・・・・」
万田 「自分ら今さっきまで、
会社から受けてた仕打ちを
さんざんオレらに話したよなぁ!?
フ〜ン、ガァ〜」
二人 「う、うん…」
万田 「スゴイ勢いでタヌキ運送のコトを
話したよなぁ!?フ〜ン、ガァ〜」
二人 「うん…」
万田 「ソンゴン君はなぁ!
自分らが今話してたコトを
あの本に書いたんやで!」
二人 「・・・・・・・・・」
万田 「会社が労基法を守らへんコトが、
どれほど労働者を苦しめるコトに
なるか!
そんな労働者の気持ち、当然の主張を
本にして訴えられたんやで!」
二人 「・・・・・・・・・」
万田 「自分ら会社辞めた後に
何十万っていう割増賃金
受け取ったんちゃうのん!?
フ〜ン、ガァ〜」
二人 「う、うん…」
万田 「そのカネ、誰のおかげで
もらえたんやな!」
二人 「・・・・・・・・・」
万田 「自分らが闘って勝ち得たカネか!?」
二人 「違う…」
万田 「自分らが ”カネが足りひん” 言うて、
会社の文句ばっかり言うてる間、
ソンゴン君が悪い足抱えながら、
来る日も来る日も会社に通って
あの社長と専務に ”みんなの賃金を
ちゃんと払ってくれ”って言い続けた
さかい、なんもしてへん自分らにも
払われたんちゃうのん!?」
アーム 「うん、そうや…」
アカイ 「はい、そうです…」
万田 「自分らそれでソンゴン君に
”ありがとう” の一言でも言うたか!?」
二人 「いや…それは…」
万田 「もらうだけもらっといて
お礼の一言もないどころか、
ソンゴン君が困ってても助けてあげ
ようとも思わんと!
こうやってソンゴン君が頭下げてんのに、
よ〜 ”それはイヤ”って断れんなぁ!」
二人 「・・・・・・・・・」
万田 「アカイ君の場合、
保険のカネを全額受け取れたんも
ソンゴン君のおかげちゃうのん!?」
アカイ 「は、はい…そうです…」
万田 「配車差別を受けへんようになった
のんも、ソンゴン君が動いてくれた
さかいとちゃうのん!?」
アカイ 「は、はい…」
万田 「そやのに、
よ〜かかわりたくないって
言えんなぁ〜!?」
二人 「・・・・・・・・・」
万田 「誰も裁判に出て証言台に立って
くれって言うてへんやんか!
今さっき自分らが話したコトを文章に
させてほしいって言うてるだけやんか!
陳述書にするコトが、
そんなに怖いんか!?
自分らのために必死で動いてくれた
ソンゴン君が、2100万円もの大金を
あの会社から請求されてるっていうのに、
たかが書類も書けへんって言うんか!?
ちょっとは書類ぐらい書いたろう、
それぐらいは力になったろうって
思えへんか!? 自分らには
そんな気持ちも無いんか!?」
後半の万田っちは、
ほとんど泣きながら話していました。
そして、
それを聞いている僕も
感動のあまり胸を熱くし、
目をウルウルと潤ませながら
ま、万田っち〜

と、心で号泣していました。
万田っちの熱い想いは、
僕だけでなくアーム君とアカイ君にも
シッカリと伝わったようで、
アーム 「そやな、勝手なコトばっかり
言うてホンマにゴメン。
証言台には立てへんけど、
陳述書やったら協力するわ。
さっき話してたコト、
陳述書にしてくれたらええよ。
サインとハンコもするから」
アカイ 「僕も協力します。
陳述書にしてください。
ホンマにスイマセンでした」
と言って、
二人とも頭を下げてくれました。
僕 「ありがとうございます」
僕は二人にお礼を言いました。
そしてもちろん、
万田っちにも。
興奮状態からなかなか醒めるコトができず、
まだ目に涙をためながら
怒りに震えている万田っち。
(ココまで人のために涙を流せる人は
他にいいひん)
そう思うと、
僕は万田っちのコトを
尊敬せずにはいられませんでした。
こうして、
万田っちのおかげで
アーム君とアカイ君から陳述書の了承を得る
コトができた僕なのですが、
なんと!
このあと!
事態はトンデモない
展開へ〜!!


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